
無我夢中で駆け抜けた三日間もようやく終幕モード。 僕の壊れた時計に眼を落とせば、かろうじて残り10時間だということが分かった。 感慨深い、とても感慨深い。 よもや三日間という短い時間ながらこんな濃密な時間を過ごせるとは 本ッ気で思ってなかった、相方がアレだし…。 この三日間を生き抜き、ゴールが残り10時間でイコール削除。 僕達が出くわした頭数はおよそ12体。 相方の彼は 「これはFF6の崩壊後の世界だな!」 なんて言ってたが、いいか?突っ込むぜ。 FFは勇者ドラマじゃねーから。 そんな彼は僕の傍らで眠っている。 因みに討伐したドラゴンの数は0匹だ、もう全部逃げ。 正直この世界でそこそこ通用するぐらいの補正はかかってるだろう! なんて相方と一緒にオラーかかってこいよー!なんて思ってたんだが まったく補正なんかかかっちゃいなかった。 全然常人、ありのままの、等身大の僕だった。 最初の竜なんか、調子に乗ってた僕等はそれぞれの能力を駆使して 殴りかかったり、剣でぶった斬ろうとしたりなんかしたんだが 本気で無理だった、ってーか、硬いの。ハイパー硬い。 竜の鱗は鉄の硬さなんていうけど、本当にありのままの、等身大のドラゴンですた。 おっと、口調が乱れたな。 というわけで、もう脱兎、コマンドで言えば、逃げる連打。 回り込まれても逃げるし、ブッ飛ばされても逃げる連打。 そうやって山を駆け、森を抜け、砂漠を彷徨い、空を飛び、ようやく海にイカダを作って ただいま、めっちゃ浮いてるわけ。 時刻は多分深夜、星が凄い綺麗でね、海なんか真っ黒なわけ。 一番大変だったのは、やっぱり空を飛ぶドラゴンだったかな。 攻撃あたんねーし、逃げてもはえーし。 流石の僕と相方も死を覚悟したわけ、これはあかんわ、と。 何故か関西弁、ほっといて。 で、まあ、どうやって危険を回避したのかというと 現れるドラゴンには行動範囲が決まってるらしく ある特定の地域には踏み入れられない設計らしいのよ。 僕等は山の頂上で襲われて、もう脚がもつれるどころの騒ぎじゃない ローリングダッシュで下って逃げてたんだけど 麓について、もう終わったな、と思ってドラゴンの顎を見上げた瞬間 ドラゴンのほうが山に帰っていっちゃってね。 どういうことなんだ?と思わず顔を見合わせたものさ。 ぼくがトヘロスを使ったのさ!とか言ってたけど あの竜のほうがぜってー強えーから。 疲れ果てて突っ込めなかったけど、トヘロス意味ねーから。 って今突っ込むね。 因みにトヘロスって自分より弱いモンスターがでなくなる呪文ね。 まあ、結局麓の森エリアで新しいドラゴンに追いかけられたんだけどね。 ということで、そんなこんなで後10時間。 で、今海の上、相方はイカダの上で寝てるわけ。 そう、最初に残り10時間経ったなあ、なんて思って ここまでの脳内想像にかけた時間は1秒ね。 これが走馬灯っていうんだな、って今僕は1秒を越えた世界の中で思ってるの。 何故って? こんな海ドラゴン出てきたら、逃げ道ねーだろ、っていうね。 あーあ、僕も寝ていたかった。 そんでこのまま何もわからない侭削除されたかったぜ。 ほらほら、今口が思いっきり開いてるよ。どうしようかな。 そういえば二日目を過ぎた辺りでアナウンスが入ったけな。 加持縷々春さんは、Bゲートから天界に送られました。って。 おいおい、僕たちには復活の機会もなかったわけかい。 そりゃあないぜ、結構頑張ってやってきたつもりなんだがなあ。 まさか三日間この相方だけと過ごすとは思わなかったよ。 まったく羨ましいぜ、天界とは三日間で削除になる世界とはダンチだよなあ。 きっと、結構幸せそうに、こんな世界もいいな、なんて思ったりしてんだろうな、まったく。 嫌になっちゃうぜ、この涎の多さ。っていうか臭いんだよ。 ドラゴン、臭いの。 歯ァ磨いてくれ、頼むから。 分かるかい、僕の気持ちがさ。 死ぬときに 「うわ、臭っ!いて!いだだだだあががが」 とか言って死なないといけないわけ。 誰か代わってくれよ、正直3秒後の景色に耐え切れる気がしないよ。 あ、もう1秒もかからないから、やべーくw
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